車を運転していた頃は、人生できっと特別輝いていた青春だ。
高校を卒業し、両親に買ってもらった軽自動車。ダイハツのムーヴ、軽自動車にしては中も広く、なかなか精悍な顔つきをした車だった。
車に乗り出してからは行動範囲がぐっと広がり、それまで半径数キロの生活だったのがどこへでも気軽に一走りで行けるようになり、当時20歳にもならない私はオトナ気分を味わっていた。

夕日1
地元から国道へ出て、工場地帯を尻目にどんどん南下。すると工場から田園風景へ、そこから山を越えて海が見える。海が見えてきた当たりで窓を少し開け、海のにおいを感じるのが好きだった。
当時の私は進路未定で高校を出て、なんとかアルバイトの仕事にありついていた。大学へ進学した友達、就職した友達が眩しく、将来の見通しが全く立たない自分はあの頃辛かった。誰にあっても後ろめたかった。
そんな憂鬱を、車に乗っている時は忘れられる。ドライブの果てに出迎えてくれる太平洋が、こんな悩みなんてちっぽけだと励ましてくれるような気がしていた。
車と、海と、積んでいたCDが心のよりどころだったのだ。
今では紆余曲折あり地元を離れ、車も手放してしまった。きっと今までの誰との別れよりも、車との別れが一番寂しかった。
今どこで誰があの車に乗っているんだろう。どこかの道ですれ違う事を夢見て。

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